「設備」を「戦力」へ|第2回:設備は回っている、しかし利益はどこへ消えたのか?を共有
2026年 02月10日
設備は回っている、しかし利益はどこへ消えたのか?
前回は、多額の投資で導入した最新設備が、工場の隅で「眠る機械」になってしまう現実を取り上げました。
ただし、設備を動かせばすべて解決一というわけではありません。
機械は毎日きちんと回っているのに、利益が思うように増えない。現場は忙しく動いているのに、本来得られるはずの利益が音もなくこぼれ落ちていく。
この成果が出ない稼働の裏には、経営の視点で見ると共通する3つの見えない壁があります。
今回は、その壁をほどきながら、設備を「稼働」から「利益」へつなぐために、何が足りていないのかを明らかにします。
1. 「属人化」という名の経営リス ク
ベテラン社員の経験と勘に頼る体制は、一見効率的に見えて、その実態は非常に危ういものです。
導入の中心を担った人物が不在になれば操作がブラックボックス化し、最悪の場合、稼働そのものが止まってしまいます。
- これは、会社が特定の個人に経営の主導権を握られているのと同じ状態です。
- 技術の継承が断絶したままベテランが退職を迎えれば、長年培ったノウハウは一瞬で消失してしまいます。
- 「あの人がいないとできない」という聖域を放置することは、工場にとって最大のリスクなのです。
2. 「標準化不足」が招く投資効果の目減り
「誰がやっても同じ結果が出る」仕組みは整っているでしょうか。
加工条件や段取りの手順が担当者ごとの経験や勘に頼っている現場では、品質の安定は望めません。
ある担当者なら1時間で終わる作業に、別の人なら1.5時間かかる。こうしたバラつきがある状態では、どれほど高性能な最新設備を導入しても、そのポテンシャルを十分に引き出すことは不可能です。
【イメージ:穴の空いたバケツに水を注ぐ状態】
標準化なき現場での設備投資は、いわば「穴の空いたバケツに水を注ぐ」ようなもの。日々、投資効果が目減りしている現実に目を向ける必要があります。
3. 「教育不足」が生む機会損失の連鎖
現場の教育を「背中を見て覚えろ」という場当たり的なOJTだけに頼っていませんか?
体系立てられた教育カリキュラムがない環境では、新人が戦力として機械を使いこなせるようになるまで膨大な時間を要します。
教育の遅れは、ミスの再発や改善スピードの停滞を招き、そのまま「収益化の遅れ」という目に見えないコストとなって経営を圧迫します。
「稼働」を「利益」に変えるために
これら3つの要因に共通しているのは、課題の本質が「設備そのもの」ではなく、それを使いこなすための「仕組みの欠落」にあるということです。
機械を導入して終わりにせず、いかにして「組織として」その性能を最大化させるか。この視点の転換こそが、現場を利益体質へと変える第一歩となります。